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愛媛 真網代(まあじろ)の源一郎さん。

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中島に一泊した。夜は、「中島ゆうきの里」を主宰する泉さんと、弊社 道法(どうほう)と飲んだ。実に4時間半にも及ぶ農業談義。泉さんは、中島でグループを作り、有機栽培を実践している方だ。 昨晩、北海道の農家さん 西川さんもおっしゃっていたが、有機栽培に従事する方は、「有機じゃなきゃいけないんだ!」と傾倒してしまう人と、「有機ならば高く売れるんだ。とにかくJASが取れればよい」と商売中心に考える人、の二つのタイプがある。ところが泉さんはどちらにも属さない。いろんなところに行っては新しい考えを学ぶのだそうだ。ちょうど先週は、熊本に行き、「天恵(てんけい)栽培」を実践している方のところへ、研修に行ってきたのだとか。数年前、浜松のりょくけんの会社にも来てくれていた、というから、泉さんの行動力には目を見張るものがある。肥料や水をやらないことで、生命力を引き出す、というやり方には感銘を受けたとおっしゃってくれた。

そんな一晩を過ごした後、愛媛本土に立ち返り、日本一のみかんの里、「日の丸」「川上」「真穴」を歴訪した。 「日の丸」は海から突き出した山間びっしりとみかん畑があり、日あたりが抜群。日陰が見当たらないから驚きだ。車を進めると、「川上」に差し掛かる。川上はリアス式海岸だから、いりくりが激しいために、日陰もあり、場所によって食味が違ってくるという。さらに車を進めると、真網代(まあじろ)になる。この、「真網代」とさらに進んだところにある「穴井」をあわせて、「真穴(まあな)」と呼ぶ。日本が誇るみかんの三大トップブランドだ。 この三つの地域は、三つの太陽があるといわれる。太陽と、海からの照り返し、そして、段々畑を組むために築かれた石垣からの照り返しの三つだ。農家さんの絶え間ない努力もあって、毎年、市場で最高値がつくみかんがこの三つのいずれかの地域から出荷される。

「ここが矢野さん家や」

細い道で何台もの大型車とすれ違い、矢野さんの家に着いた。「あ。源一郎さん。」 白髪で、長髪を後ろに束ねた、優しそうな方。写真で何回か拝見していたので、すぐに分かった。道法は、先生として、矢野さんグループに剪定講習を行いに来たが、自分の目的は、違う。すぐにたずねてみる。「あの、あの、ブラッドオレンジは、分けていただけないですか!?」

そう、日本でまさか、ブラッドオレンジが栽培されているとは、夢にも思っていなかった。真網代近辺では、もっとも力を入れているみかんの他、ブラッドオレンジも少しずつ増やしている。

「昨日収穫したよ。」と穏やかに話す矢野さん。畑でなっているところを、どうしても写真に収めたかったのは、ちょっと残念だったが、土壁でつくられた倉庫に案内され、収穫されたブラッドオレンジと対面。矢野さんがカットしてくれると、断面が赤い。いろんな品種があり、果肉がすべて赤いものと、まだらのものがある。矢野さんのものは後者のものだ。早速試食させてもらう。とってもジューシー。そして甘い。一般的に、柑橘類は、収穫直後は、酸味が強い。その酸味がほとんどない。「この時期までおいとったからねえ。」 樹上完熟。木の上でしっかり熟させたため、酸味がほとんどないのだ。

tarokko cut.jpg 果肉に赤みが入る。独特のコクがある。

収穫後でもよいから、と、畑に連れて行っていただくことにした。

山を上がっていくにつれ、海が見え、空の青が映え、山の緑が輝く。人も果物もこんなところで育ったら気持ちよいだろうなあ、と思う。

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矢野さんの畑の周辺だけ、黄色の花が咲き誇っている。菜の花かと思いきや、それよりも丈が低い。実は、「オキザリス」と言い、地元ではこの花を広めた人の名にちなんで「熊太郎草」と呼ばれている。 みかん栽培は除草との戦いと言っても良い。夏の暑い盛りに、「美味しくなるための大事な時期を」迎えるみかんにとって、次々と伸びてくる雑草対策は、相当な労苦。一般的には除草剤を使い、雑草を駆除するが、りょくけんでは除草剤不使用をお願いしているから使えない。そこでナギナタガヤという丈の高い「枯れる雑草」で、雑草を覆い、窒息死させるということを考えつき、広めたのが、弊社 道法。冒頭にふれた、泉さんも実は、独自にその方法にたどり着いていた。他方、矢野さんが注目したのが、このオキザリスだった。「枯れる花」であり、枯れると雑草を覆い、窒息死させる。種ではなく、株で増えるので、だんだんと移植し、増やしている途中だとか。黄色の花が、空の青や緑の山に映えて、とてもきれいだ。

yano cut.jpg 源一郎さん。手前の黄色の花が「オキザリス」。

さらに山を登って行くと、ブラッドオレンジの木があった。 鳥たちに食べられた跡がたくさんある。不思議なもので、鳥たちは、目がほとんど利かない。でも、美味しい果物は見分けがつく。鼻が利くのだろうか?きちんと熟したものだけ食べるのだ。なので、その食べた跡があるということは、かなりオレンジを熟させた証拠なのだ。

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まだまだ生産量が低く、さらに、肌が弱いので、潰瘍病という、かさぶたが皮に出来てしまうのが残念だが、中身はなんとも無い。この、赤い果肉のオレンジが、お客様にどのような評価を得るのか、今から来週がとっても楽しみだ。

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