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美味しいパッションフルーツがあるって。

「新垣さんが、超美味しいパッションフルーツがあるって。食べさせてくれるって。」

待望の島ばななに出会った新垣さんのお宅で、実はもうひとつ出会ったものがあった。オクラの畑の収穫に行っていただんなさんの帰りを待っていると、奥さんが育てたパッションフルーツをふるまってくださったのだ。

良く冷やされたパッションフルーツは、フルーティーな香りをこれでもかと醸し出していて、半分にカットされた面から覗かせる鮮やかな黄色の果肉がいかにもトロピカル!

P7033658maru.jpg 剥離しかけた薄皮ごと食べると食べやすい。

個人的な話になるが、私は4歳になる少し前まで、ブラジルに住んでいたことがある。父の仕事の関係のためだ。まったくといって覚えていないのだが、時々、ふと記憶がよぎることがある。パッションフルーツもそのひとつ。日本に帰ってきてしばらくした後に遊びに行ったシンガポールでオレンジジュースだと思って橙色のジュースを飲んだ。しかしオレンジジュースの味ではない。でも、大好きな味。そして、どこかで飲んだことがある味。急ぎ家族に持っていき飲ませると、父が「マラクジャだ!」と叫んだ。母も「あ、マラクジャだ。」とぽつり。

オレンジジュースだと思った橙色のジュースの正体は、パッションフルーツで、『マラクジャ』とはポルトガル語で、パッションフルーツのことだった。当時はまだ辞書などが発展しておらず、私の家では、そのときまで「マラクジャ=パッションフルーツ」であることを知らなかったのだった。

そんな思い出の味なので、たまにスーパーさんで販売されているのを買って食べていたのだが、酸味が強く、知っている味でなかった。参考書を読むと、「強い酸味があるので、加糖してもっぱらゼリーやジュースに使われる。」とあり、記憶にあった、あの味も、加糖したものだったのだ、といつしか思うようになっていた。

ーところが。

目の前に提供してくれた新垣さんのパッションフルーツは、目がまん丸になるほど美味しい…!

19時を過ぎ、陽が沈み始めて、いささか過ごしやすくなったものの、まだまだ暑い。亜熱帯の太陽に加熱された体に、パッションフルーツは、とてつもなく心地良かった。皮の器に残った黄色の果汁もジュジュッとすする。

適度な酸味と、それを凌ぐ甘さ。トロピカルなフレーバーが、体を潤す。

気になって糖度計を取り出して、糖度を測ると、17.2度くらいある。なるほど、これが「超美味しいパッションフルーツ」か。

「品種もいろいろあって、これがどうも良いみたい。」と新垣さんの奥さんはサラリ。「黄色の果皮のものとか、『キング』といって、ものすごく大きくなるものもあるけど、これが一番美味しい。ビタミンAが抜群に多いんだよ※1」 勤めの関係で、神奈川に35年住んでいたという奥さんは、私を気遣って、流暢な東京方言を使って話してくれる※2。種をバリバリとかんでいると、「違うわよ、かまずにそのまま飲み込むの。」とアドバイスしてくれた。確かにその方が喉越しがよく、美味しい。

ふと上司の顔が浮かぶ。飲み込みながら「種はそのまま出てくるなあ」と思ったからだ。きっと上司がその場にいたら、そのように茶化すに違いない、と思ってしまったのだ(笑)。

yellow passion.jpg黄色のパッションフルーツ。確かに赤いものほど美味しくない。

さておき。奥さんの写真を撮りたかったが、恥ずかしがって撮らせてくれなかったのが、少し残念だった。

会社に戻り、手土産にした新垣さんのパッションフルーツを社員さんたちに食べてもらった。お店のスタッフさんにも食べてもらった。…思い出も手伝った、自分のひいきの引き倒しになっていないか、不安だったからだ。また、種は食べにくい、お客様に受け入れていただけるか、確信もなかったからだ。結果は超好評。特に、以前に食べたことのある人たちに、好評を得たのがうれしい。「あんなに美味しいのは食べたことがない。」と。

早速、沖縄に連絡を入れ、明後日9日(水)より入荷を決めた。実は5月中旬から収穫が始まっている果実なので、期間としては残りごくわずか。情熱の熱帯果実の名残※3。どうぞお試しあれ。

日本には、美味しい!がいっぱいだ。

■パッションフルーツ 1玉 347円(税抜き) 沖縄県南城市産 5月中旬~7月15日ごろまで 

※1 …パッションフルーツのビタミンA含有量は、100gあたり1100μg。くだものとしては、確かに多い。

※2 …沖縄語はかなり難解だった。新垣さんのおばあさんが、東京の人だって島バナナは「高いから、まず買わないんじゃない?」と言ってくれたのだが、逆通訳すると…「かみならんしが、ませかわらんせよー。」

※3 …パッションフルーツの「パッション」は、情熱という意味ではなく、キリストの受難を意味する(数年前に、キリストの生涯を描いた映画のタイトルにもなっていたかと)。これは、パッションフルーツの花のめしべが十字架のように見えるためで、新大陸で初めて目にした宣教師たちが名づけたと言われている。ちなみに日本では十字架とは捉われずに「時計」に見立てられた。そのため、和名をトケイソウと言う。

Grenadille.jpg 十字架に人が磔になったような形。    

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