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阿久根のさとうきび。まずは一杯。搾りたてでどうぞ。

PB195547maru.jpg 搾汁機。何を搾っている…?

 PB195549maru.jpg 琥珀色の果汁が出てきました。

「あ、これ飲んでみたいよぉ。」

私の出張報告書を読んでいたアシスタントさんがポツリと言った。

来る11月25日火曜日より、福岡の三越さんで、催事(=期間限定販売会のこと。業界?ではもっぱら「催事」あるいは「催し」と呼ぶ)を行う。九州初上陸だ。その目玉として、私の上司が思いついてしまったのが「さとうきびジュース」だ。ちょうど、さとうきびの収穫が始まったところで、タイミングとしては合っている。

お歳暮需要を見越して、百貨店さん側は「お取り寄せ特集」と副題を添えているので、りょくけん自慢のジュースたちを新作も含め、お持ちするのだが、一つ動きのあるものを、と、上司が考えに至ったわけだ。

銀座店店頭でもご愛顧いただいている、「黒砂糖」。これは非常に良い黒砂糖で、甘さだけでなく複雑でいろいろな味がある。時に塩味であったり、時に酸味であったり。いわゆる精製された砂糖然とした味ではない。

「畑によっても味が違うし、釜のロットでも違う。その年の天候でも違うんですよね。一度、お客さんからも、『お宅の砂糖は隠し味の塩が良く効いていておいしいですね』と言われて、「いやいや、塩なんて加えていないんですよ。原料はさとうきびだけなんです。』なんてやり取りもありましたよ。」

松木さんのふくよかで穏やかな笑みがこぼれる。

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PB195556maru.jpg 昭和23年の創業から変わらないさとうきびを搾る機械。口からさとうきびを入れ、ローラーでつぶされて果汁が滴り、手前の木の箱に流し込まれる。この後、薪の火を使って煮詰められ、黒砂糖に成型される。

父親の代で近所の大将から引き継いだという製糖工場。お父上の他界後、サラリーマンをやる傍ら、近所の農家さんのさとうきびを原料に、年に一回だけ作っていたのが、だんだんとのめりこんでしまったようで、今や、自らもさとうきびを栽培するようになった。奄美大島から持ち込んだという品種は、代々引き継がれ、阿久根の気候に合致したのか、病気が少なく、農薬は一切与えなくて済むという。肥料は、油粕と骨粉のみ。さとうきびを太らせるようなものは決して与えない。結局、肥料を過多に与えて太らせても、搾れるさとうきび果汁は同じだからだ。原料を作る人と、製品を作る人が同じだから、辿り着いた結論だろう。

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畑は、りょくけんが大好きな赤い土で、草が表面を覆うが、それに負けじと旺盛に育ったさとうきびたちが力強く立ち並ぶ。

「ほら、この白い粉みたいなのが大事なんですよ。」 さとうきびの表皮には白い粉が付着している。一般的には、ごしごしと洗い落としてしまうらしい。松木さんによると、これが、黒砂糖の甘さだけでない複雑な味を生むのだとか。

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今回の催事では、この、さとうきびを生のまま持ち込み、「さとうきびジューサー」で搾り、「さとうきびジュース」を販売する。もちろん、今だけしか出来ない、期間限定販売だ。スッキリした甘さで、竹に似た香りがあり、単なる砂糖ジュースではない。まさに「自然の恵み」といったお味だ。福岡近郊にお住まいの方や、近くにお越しの方にはぜひ立ち寄っていただきたい。

昭和23年ごろには数十件とあった製糖工場も、今では松木さんの一軒を残すのみ。管轄の役所に電話したところ、「え?阿久根に砂糖の工場なんてあるですか?」と、以前言われたのを覚えている。貴重な一品だからこそ、大切にこの世の中に広めていきたい。

■搾りたて!さとうきび生ジュース 一杯 315円(税込)  原料生産地 鹿児島県阿久根市

■新もの 黒砂糖 1袋(約300gバラ) 945円(税込)  11月27日ごろより

■福岡三越 催事「味の散策~お取り寄せ~」 地下2階にて  期間 11月25日(火)~12月1日(月)

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