りょくけん東京

りょくけんだより
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じゃがいもが、美味しい。

jaga (7).JPG ←収穫されたキタアカリ

北海道は、日本で唯一、大規模農業が可能な都道府県、と言って良い、と思う。10ヘクタールを優に超える畑で、少ない人手で、機械を導入し、効率よく、野菜くだものを栽培する。

そういう大産地で、苦労するのは、除草剤不使用という基準だ。りょくけんでは、美味しさを追求する観点から、根にある細かい根を傷める可能性のある、除草剤の使用を認めていない。

他産地では、ある程度、スムーズに依頼ができても、北海道ではそうはいかない。省力化の進んだ北海道では、草刈を薬剤に頼るからだ。除草剤だけではない。大規模の畑に、トラクターなどの機械を入れ、収穫するため、じゃがいもの葉を枯らす必要がある。その際、枯凋剤(こちょうざい)という農薬を使用する。青々とした葉に散布し、枯らした後、機械を入れ、土から下のじゃがいもを掘り上げていく。他産地では、葉が十分に枯れるまで、待ってから収穫しているが、こと北海道では、そのようにされている。葉が黄色く枯れることが、芋が完熟になったサインであるにもかかわらず、だ。

jaga (11).JPG ←枯凋剤散布後のじゃがいも畑

りょくけんが、北海道のじゃがいもを託している廣田さんも、以前は、除草剤も枯凋剤も使用していた。

「そのほうが楽でしたから。」

早く出荷したほうが高い値段が付く、というのも問題だ。北海道は、じゃがいものブランドなので、早く収穫して、出荷したほうが市場価値が高い。そのため、葉が青いうちに収穫してしまう。

jaga (9).JPGjaga (5).JPG ←左が枯凋剤を散布した畑。右は廣田さんの畑。

廣田さんには、そうではなくて、あくまで、うまいものをつくろうという、共通意識を持って、葉が黄色く枯れてから、葉を刈り、収穫することにしている。完熟した芋は、表面にひび割れがある。あまり美しくないかもしれないが、これが実は、美味しい証=完熟の証なのだ。

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また、肥料分も少ないため、どうしても真ん丸のきれいな形にならず、ごつごつした形になる。

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大航海時代に、南米大陸で「発見」されたじゃがいもは、ヨーロッパに伝えられると、瞬く間に広がり、各国の人口が増加に転じた。冷涼で肥沃でなく、作物が育ちにかったヨーロッパ各国に適した作物だった。

「山でなかったら、もっととれるんだけどね。」と廣田さんが言う。

新十津川町は、ピンネシリ山系のふもとに広がる平野部だが、丘も多い。廣田さんも、米は平野部で育てるが、りょくけんで依頼している、かぼちゃやじゃがいもは、丘の上を切り開いた畑で栽培している。屋敷のあたりから見ると、うっそうと木が生い茂る森にしか見えないのだが…。

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「山に行ってみますか。」

軽トラに乗り込む。

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最初の部分こそ、砂利が敷いてあるが、ほとんどが土がむき出しの悪路を登っていく。

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ドカンドカン

ザサッザサー

下から突き上げられながら、ファーストギアで進む。徒長した木の枝が、車の窓やミラーに容赦なくぶつかってくるが、ひるむことなく突き進む。悪路だ。廣田家しか使わないのだから、今後、舗装することもないだろう。しばらくすると、突然、視界が広がり、目の前に畑が現れる。

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丘の頂上。

なだらかな赤土の傾斜地に、青々とした葉と、青い空がある。

2ヘクタールくらいはあるだろうか、1/3がとうもろこし、1/3をかぼちゃ、1/3をじゃがいもに充てている。毎年、場所を変えて輪作している。

「あんまり量はとれないんだけど、味は良いよね。」と廣田さんが不敵な笑みを浮かべる。

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品種は3種類。キタアカリが、お店では一番人気があるが、一押しはベーシックな男爵。味があるからだ。肥料分が少なく、ふわっとしていないからか、肉質も緻密で、男爵なのに、煮崩れしにくい。廣田さんのお父さんに言わせると、

「冬を越した、メークインなんか、甘くて、ほんとにうまい。」

それも真実で、でんぷん質が糖分に変わり、甘みが強くなる。

まだ独り暮らしをしていた時には、じゃがいもを温めて、お気に入りの塩を振りかけ、これまたお気に入りのオリーブオイルかゴマ油をかけて食べていたのを思い出した。その度に、うーんこのじゃがいもうまい。と自画自賛?していたものだ。

先日、稼働したばかりのセントラルキッチンで、チーズフォンデュの試作をしていた。じゃがいもはピカイチの美味しさだった。

最近では、色や品種が強く打ち出される。それも大事なのだが、男爵、メークインという二大看板を大事にしたいと思っている。

一方で、今年は、廣田さんにこっそりと作ってもらった品種もある。

「インカのめざめ」だ。

黄色みを帯びた果肉で、貯蔵すると甘みがとても強く、栗のような風味を持つ品種だ。弱点は、芽が出やすいことと、小さく、収穫量が見込めないため、どうしても、高価になってしまうことだ。

今年は試作で、数も少ないが、そのうち、こっそりと販売するつもり。

「山であれをつくったらとても合わない。家族会議で、3倍の値段もらってもできないっ」と廣田さんには断言されてしまったが、それはそれ。

生産者にも、消費者の方にも納得していただくようにもっていくのが、弊社の努めだ。

何はともわれ、廣田さんのじゃがいも。外観はそこそこだが、中身はうまい。

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■男爵 北海道産 

■キタアカリ 北海道産 年内で完売予定

■メークイン 北海道産  各 100gあたり 52円(税込)

■インカのめざめ 北海道産 12月初旬ごろ~ 数量限定

■チーズフォンデュ(仮称) 11月17日(木)ボージョレ解禁とともにデビュー予定

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