りょくけん東京

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社長日記

ヤマトさんの報道を見て思うこと。

通販を行うりょくけんにとっては、看過できない報道が年末から続いている。
佐川急便さんのドライバーさんが台車をけって暴れている画像が流れ、
年末年始は、遅配が頻発した。
ヤマト運輸さんは、最高の売り上げを出したが、利益は下がった。
遅配についても、本当にギリギリの状態でなんとかなった、というインタビューも掲載されていた。

つい5、6年前まで大手宅配三社は、熾烈な値下げ競争を行っていた。
りょくけんに対しても同様で、今にして思うと、本当に安い運賃でお客様にお届けできたし、
全国の農家からもメリットのある運賃でお店や事務所まで運ぶことができた。

だが、その熾烈な過当競争に、まずは、日通が下りた。
日本通運さんは、中国やマレーシアなど海外での展開をすでに始めており、
そのめどがたち、サービスが高度化した日本市場では利益を見込めない、と考えたのだと思う。

さっさと、日本郵便さんに事業を売り渡した。
「日通ペリカン便」という名前が消え、すべて「ゆうパック」に統合された。
ちなみに、彼らはまだ国に税金を納めていない。

佐川さんは、大型化、集積化して、効率化を図った。
佐川男子などと呼ばれる男性ドライバーもいたし、CMなどでイメージアップも図った。

が、大型化は、個人向けの宅配とは合致しないところがある。
2t車でエリア内を走り、各中継地点、集積所に寄るのは一日3回くらいだろうか。
幹線で、渋滞が発生すると中継地点への到着が遅れ、1回立ち寄ったドライバーさんが
もう一度立ち寄るのは、その数時間後である。
2時間刻みで着時間を指定できるが、順守はむつかしい。

ヤマト運輸さんは、小型化し、センターを多く作るシステムを構築した。
一日にドライバーがセンターに立ち寄る回数は、佐川さんの倍である。
中継地点で遅配が発生しても、なんとかしてリカバリーできるのはこの小回りの利く俊敏性のためだった。

ここの打撃を与えたのが、冷蔵配送である。

各社とも、200円~300円増しで、10度配送や0度配送ができた。
ただ、コストの関係もあり、コールドチェーンを徹底できない部分があると一斉にリークされ、報道された。

コールドチェーンを厳密に守る、という理由で冷蔵配送は各社ともコストアップ、我々業者には値上げとなった。
次が、各社とも、サイズの厳密化が一斉になされた。
実は、5~6年前までは、交渉次第で、どの大きさでも一律の料金で受けてくれた。
今は、都内を中心に、定規ですべて図られる。2㎜大きければ、次のサイズの価格になる。

我々にはきつい価格帯になった。

そしてアマゾンである。

当初、アマゾンは佐川と契約した。
総量契約といって、いくつ送っても、一定の総金額で契約するのだ。
例えば、1か月100万円で契約する。1000個配送しても、1万個配送しても、100万円。

アマゾンが送料を無料にできるのはここに訳がある。
数さえ増やせば、1個当たりの配送料は割り算され、格安になる。

あとは宅配業者のリスクなのだ。

当然、契約時にはそれ相応の試算をしていると思うが、通販需要が一気に伸びたため、キャパを超えてしまい、佐川さんはギブアップ。
また、当初はCDや本だけだったので、トラックに占める量が多くなく、十分にペイする、と思ったに違いない。

そのあとを継いだのがヤマト運輸さんだった。
優れた物流網で、なんとかキャパをしのいできたが、利益率が圧迫されてしまい、
従業員満足も立ち行かず、今回のようなことが起きているのだと思う。

それはそうだ。
せっかく苦労してなんとか時間内にお届けしても10分遅れたら、「遅い!」と叱咤され
苦労して届けに行ったら、お留守で届けられない。
再配達に行っても、「指定していたのに、いなくてごめんね~」なんて謝られるようなことは、まずないだろう。

これで従業員が満足するのであれば、よほどできた人間だ。

そんな状況を受けて、アマゾンは、自社で物流網を作り、首都圏をカバーしようとしている。
それは、かつて米国で実施したことと同様だ。
物流を制すものが、通販を制す。という信念らしい。

ドローンが本当に普及するまで、しばらくはドライバー=人の取り合いになるのは目に見えてしまうが…。

はたから見ていると、ヤマト運輸さんには、送料負担を取引先やお客様に求めるのではなく、
早々にアマゾンさんと総量規制を行ったほうがよいのではないだろうか。

労使協定に現在、入っているようだ。
ヤマト運輸さんは、尊敬する会社のひとつ。
どんな解決策を見出すのか、見守り、自分の経営判断の参考にもしたいと思う。

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