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プレミアムスイートとグラニースミス。

「プレミアムスイートとグラニースミスを100ケースずつ確保してほしいんです。」
「100ですか?」
「はい。年明けてからのりんごが手薄で、あのりんご二種類なら、日持ちがしますし、特徴があって、銀座店でもヒットした商品なんで。」

成田さんは少し考えた後、

「グラニーは、はい、そのくらい確保できます。」

グラニースミスは世界的に支持のある青りんごで、最も著名なりんごの一つであろう。
ただ、日本では、その特徴である酸味が嫌われて、あまり栽培されていない。
最近になって、ケーキ屋さんや、ヨーロッパで修業したシェフやパティシエの方が、こぞって買い求めるらしい。

オーストラリア生まれの品種で、グラニーとはおばあちゃんの意味。
マリア・スミスさんという方が19世紀に発見した品種である。
果形が安定しており、いかにもりんごらしい形で、酸味が強い。
そしてもう一つ特徴がある。

「ちなみにグラニースミスは、やっぱり青取りのりんごなんですか?」
「やや未熟で収穫しますね。毎年10月20日くらいに収穫します。」
「だから、あのエグミというか渋みが出るんですか?」
「はい。でもあの渋みと酸味は、ケーキ屋さんに言わせると不可欠なもののようで、『こういうもんだ』って重宝されるんです。」
「なるほど。だから日持ちもするんですね。ちなみに、完熟させたこととかあるんですか?」
「はい、12月くらいまで木にならせたこともあります。幾分黄色っぽくなって、やっぱり完熟した紅玉みたいな味がします。ただ、やっぱり日持ちしません。」
「へえ~。」

「ただ、プレミアムスイートは…。」と成田さんの言葉が詰まった。

プレミアムスイートは、成田さんのオリジナル品種。
販売先もあるだろうし、難しいかもしれない。

プレミアムスイート

「昨年は、本当に無くて…。今年はちょうど週明けの月曜日に収穫しようと思っていたところでした。ただ、あれは、確かに日持ちするんですが、突然パカパカ割れたりするんです。だからそんなに確保できるかどうか…。」

傍らから、すでに収穫してあったプレミアムスイートを取り出して、切ってくださった。
シャキシャキした食感が特徴で、糖度も高く美味しい。

「では、まあ、収穫したところで、ある程度、近い数字を確保していただく、ということで、お願いします。」

「はい、それなら。50ケースくらいはとれると思うんです。今年は生りが良いんで。」

直売所 兼 りんご狩りの受付から、成田さんのお母様があわてていらっしゃった。
今日は久しぶりの晴れ間。
しかも、お昼に近い時間帯。
お客様も多いだろう。

「ごめん、シナノゴールド10㎏つくって…!」

「あ、どうぞ、成田さん、仕事なさってください。」
「すみません。」
「畑見てて良いですか?」
「どうぞ見てみてください。」

今日で三回目。
直売所に隣接する畑の中の木の位置はおおよそ把握している。

グラニースミスとプレミアムスイートの販売意思表示ができたので、ほぼ目的は達成。
自己満足しながら、畑に入った。

まずは、垣根代わりに植えている「アルプス乙女」。
親はフジと紅玉と言われたり、フジとひめりんごと言われたりする、超小玉のりんごだ。
やや硬い果肉ながら、風味はフジに似ていて、蜜も入り、美味しい。

実は、昨年は本当に不作で、ほとんど手に入らなかった。

それが今年はどうだ、ものすごい生りよう。

”たわわになる”とはまさにこのこと、と言わんばかりになっていた。

「りんごもやっぱり隔年結果なのかな。」

青い空と緑の木々に、赤い実が本当に映える。

続いてプレミアムスイート。
こちらも本当によく生っている。
しいて言えば、ちょっと小玉が多いか。

その傍ら、園地の角っこに、とても気になるりんごがあった。

「このどす黒いりんごは何だろう?」

秋映…?

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