りょくけん東京

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産地情報 社長日記

お茶にとって理想的な環境。

太田重喜製茶工場と、自らの名を冠した会社も、今では、裕介さんが引き継ぎ、無事に代替わりを果たした。

太田さんは、無事に代替わりできたが、耕作放棄された茶畑は多く、なかなか一筋縄ではいかない。

標高400mの、太田さんの茶畑の中では最も高いところにある畑の周りにも、自分の背よりも高く伸びきった茶畑がいくつもある。
谷を挟んで、向こう側に見える茶畑も、放棄された、整備されていない畑が点在している。

今、二人で立っている茶畑も、以前は太田さんの畑ではなかった。
前任者から、譲り受けた畑。
農道をはさんで向かい側にある茶の木が伸びきった畑も同じ方が手を入れていたそうだが、土地の所有者が異なり、話がうまく進まなかったのだとか。

よく見ると、巨大な岩が多い。

「ここらへんは石が多くて。」

石の産地にもなるほどで、畑を耕すと、必ず石に出くわす。

ほとんどが斜面を利用した段々畑だから、石垣を組むのに利用したり、排水と保水のバランスをとるため、畑の中に適度な石が入るのは都合が良い。

だから、石があることは決して悪いことではないのだが、いかんせん多すぎるようで、伸びきった茶の木の向こうには、かなり多くの石が放置されているそうで、それも、交渉がうまく行かなかった理由のひとつのようだ。

キンと緊張感のある空気と霧が出やすい環境もお茶には適している。

「ああ、確かに。もうあそこから霧が出ていますね。」
山間からもわ~っと発生しているところを指差した。

「いや、あれはモヤですね。あんなもんじゃないですけんね。」

なるほど。

南側に山を背にしているので、日照時間が短いことも、質の良い茶葉が取れるのに一役買っている。

「他の作物と違って、あんまり日照が長いと、旨味成分が蓄えられないんですよ。」

「そういえば、抹茶とかかぶせ茶は、覆いをして、日光を遮って育てますもんね。」

「あれは、収穫前のほんの数週間に過ぎないんですが、長い時間、日が当たらないというのが、大きいんです。」

茶葉は、テアニンとカテキンの二成分が含まれており、テアニンが甘味や旨味の成分。
カテキンは、渋みを醸し出す。

テアニンは、日光が当たらないことで増え、カテキンは、日光が当たることで増える。

あまり日が当たりすぎると、カテキンが増えすぎてしまうわけだ。

「こういう渓谷の地形が、お茶には理想的なんですよね。」

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