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産地情報 社長日記

黒砂糖と黒牛。

ここで、私は、徳之島のもうひとつの基幹産業を知ることになる。

「徳之島は、和牛の仔牛を出荷してるんですよ。大きくなって、松坂牛とか近江牛になる。」と拓也さんに代わって、名古さんが説明してくれた。

自然分娩で生まれた質の良い黒牛を、各地に出荷しているのだ。
そういえば、鹿児島黒牛という和牛が、2017年度に、日本一の表彰を受けた、と鹿児島空港の壁にいくつもポスターが貼ってあった。
優れた肉質は、徳之島の仔牛が支えているのだろう。

よくよく事務所を見渡すと、いくつも表彰状が飾ってある。
拓也さんの名前があり、いずれも仔牛の出荷数や品質を称えるものだった。

「あれ、畜産もやってらっしゃるんですか?」
「あ、そうですよ。ずっと牛を育てています。親父が亡くなって、こっちもやらなくちゃいけなくなって。そっからです。」

♪USA~

話していたら、息子さんの見ていたIPADから突然流れてきた。

「おいっ。」と拓也さん。

「砂糖は育てて何年くらいになるんですか?」
「そうですね、5年ですね。」指で数えて拓也さんが答える。

「どっちが楽しいですか?」
「どっちが…?」

しばらく考えた後、「どっちも楽しいっすよ。」と笑顔で拓也さんが答えた。

「砂糖作りも面白いっすね。」
「へえ~」
「やってて楽しいっすよ。」
「ええ、どういう点が面白いんですか?」
「え?できたりできなかったり、さっき言ったみたいに、失敗することもあって、すごくよくできることもあったり。」
「へえ~」

「良い砂糖はなかなかできない。」

「なるほど。」
「サトウキビの品質にもよるし、自分の技術もあるし。奥が深いです。」
「そうですね~。空港からここにくるまでにサトウキビをたくさん見ましたし、名古さんからも話を聞いてましたけれど、本当に短時間でいっぱい学びました。」

「けっこうとってくれてますよね。どうですか、お客さんの反応は?」と名古さん。

「あ。すみません、黒砂糖として売っているよりも、デリカで使う方が多いんですよ。」
「え?このまま売っているのかと思ってました。」
「特に、今、さつまいもの黒蜜がけで、大学芋みたいなのに使っています。せっかく苦労して粉状にしてもらったものを、また蜜状にしてます。すみません。」
「いやいや。そうなんですよね、もっと安定して粉状のができればよいんですけど。島にいるシェフの方は、塊のものを買っていて、おろし器で削ってるって言ってました。」
「そうですか。」
「もっと楽したいから、粉状のをもっと作ってくれ、って言われたんですけど、『無理だ』って答えました。」
「へえ~」
「あ、それでこの、黒蜜を紹介したんですよ。石灰を入れないで、蜜状でとどめたものです。ただ、やっぱり、ちょっと。ま、なめてみてください。」

とチューブを渡された。

なめてみると、なるほど、特有のクセがある。

「なるほど、雑味がすごい強く出ていますね。」
「そうなんですよ、結局、サトウキビの質が良いものが純黒糖になって、蜜状にはどのサトウキビでもできるので。少しクセが出るんですよ。」
「なるほどですね。でも、ちょっと厨房に渡して試してみます。ありがとうございます。」

「さ。じゃあ、そろそろ行きますか。突然、来ちゃってごめんね。」と名古さんが拓也さんに言う。

最後、握手させてもらうと、やっぱりその手の厚さに驚いた。

名古さんの車に乗って、きゅらしま製糖工場を後にした。

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