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いちご 商品情報 恋みのり

恋みのり、という苺。

おそらくは、濃い実り(みのり)を意識したネーミングなんだろう。
恋みのりを開発したのは、国の機関である農研機構さん。
全国に研究センターがあり、現地の気候や需要に即して開発を行っている。

苺栽培は手間がかかる。
大玉にするために、摘果といって間引きも行うし、日が当たるように苺の実をずらしたりもする。
本来の旬である初夏を、最需要期にずらすために冬に栽培することも一因だろう。

恋みのりは、そんな農家の手間をできるだけ省くためにできた品種。
熊本県が開発した高食味いちご”ひのしずく”と農研機構が持っていたコードネームだけのいちご(03042-08)の掛け合わせ。
大玉傾向のため、摘果があまり必要でなく、ツルが長いので、日当たりの調整も楽だという。
肝心の食味のデータも資料に記載があるが、10度前後を行き来していて、特筆するような数値ではない。

宗像の石井さん。
いろんな品種を作りつつ、作業のバランスで”恋みのり”は入れていきたいそうで、昨年から作っている。
昨年、少しいただいたのだけれど、データ通り、食味は今一つぱっとせず、色も薄いので、言いづらいのだが「不要」、と申し上げてしまった。

やっぱり食味的には、さちのか!

石井さんご夫婦

そんな石井さんから入電。

「ちょっといろいろ変えてみたんで、食べてみてください。」

届いた恋みのりは、とても香りが良く、甘酸っぱい香りが辺りに広がった。
出勤してきたスタッフさんも、うわあ、良い香り~と口をそろえる。

そして試食。

いちごミルクのような甘さがあり、昨年よりずっと美味しい。

「美味しいですね!」
「いちごミルクみたいな味ですね。」と私が言うと、あまり賛同を得られなかった。
とにもかくにも、数値には現れない、風味の部分で、どうやら美味しいらしい。

石井さんに「何を変えたんですか?」と聞くと「いやちょっと」

「リン酸の割合ですか?」と突っ込むと、「いや確かにリン酸なんですが」
糖度を上げるには、窒素、リン酸、カリウムの三要素のうち、リン酸が重要だ。
ただ、リン酸ばかりあげていれば良いかというと、そうではなく、リン酸がうまく変化させるためにはカリウムも必要で、カリウムを効かせすぎると、食味が悪くなる。
そのあたりのバランスが難しく、それを埋めるのが各種の微量栄養素、ミネラル、菌、酵素など。
このあたりが、農家の技術だったり、経験だったりする、料理で言えば、秘密のレシピになる。

石井さんいわく、それを少し変えたのだそう。

店頭に並ぶと、赤くて大きい”あまおう”が一番人気で、少し淡い色合いの恋みのりには、お客様の手が伸びない。

でも、風味が良いので、ぜひ召し上がってほしい。

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