まずは空港から澤山さんのところへ行かなくては。
14時から有機栽培の勉強会があるというところを、無理に予定を入れてもらった。
8時10分だったので、充分に間に合うはず。

そう思いながら、空港のロビーに出て、忘れていたことを思い出した。

レンタカー予約するのを忘れた！

空港にあるトヨタレンタカーのカウンターの男性に空きはあるかと尋ねると
「すみません、いっぱいなんです。一つ上のクラスでしたら、シエンタならあるんですが、料金がこちらになってしまいまして…。」
さほど高くないと思った。
「これでお願いします、あ、いや、ワンウェイで、女満別空港で返却したいのですが…。」

とかち帯広空港で借りて、300㎞ほど離れた女満別空港で返却をしたかった。
「女満別ですね、そうすると、こちらの金額になります。」
金額を見て、あ、それはない、と思った。

「ここから帯広駅まで出ていただいて、駅の近くにも店舗があるので、もしかしたら、そこなら。。。」

一縷の望みにかけて、電話することにした。

「今からですか？う～ん、少しお時間ください、このままお待ちいただけますか？」

ー待つしかない。

せっかく時間の合間を縫って、ここまで来たのに、何で時間を無駄に使っているんだろう？
いっそさっきの高い料金で借りるか？
あ、いや、時間も大切だが、お金も大切だ。
あ～どうしよう？？？

「帯広駅行のバス、間もなく出発いたします。次のバスは40分後です。」というアナウンスが聞こえてきた。

ますます迷ったけれど、携帯電話を耳に当てたまま、切符を買った。
「このバスに乗るんですか！？」
「はい！お願いします。」

公共の交通機関に乗っているときの携帯電話での会話は極力避けている。
でも、そうも言っていられない。

電話の向こうでは、待ち受けの音楽が何度も繰り返されていた。