りょくけん東京

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斜里 花豆

結果的、”無農薬”。

堀田さんは、きっと私が喜んでくれると思ったのだろう。
嬉しそうに、「ここは無農薬ですよ。」とご紹介してくださった。

堀田さんは、「自分のための仕事って嫌いなんですよ。人が喜んでくれる仕事が好きなんです。」という信条がある。

奥様は、少し恥ずかしそうに、「いや、そんな自慢するようなものじゃなくて、ここは…。」と笑った。

農薬を使わない、という言葉にもいろいろニュアンスがある。
”ここは無農薬でつくるぞ!”と、積極的に農薬不使用で作ることもあれば、結果的に農薬不使用になることもある。
防除したくても、手が追いつかず、ただ、散布できなかったようなパターンもあるのだ。
農薬散布。

消費者は、真っ先に自分の健康被害を考えるかもしれないが、農家にとっても、決して良いものではなく、コストであり、手間だ。

「もしかして、あれですか、撒きたくても撒けなかったみたいな…?」
少しオブラートに包んで聞いてみると
「ハイハイ、そうです。」と笑いながら奥様は頷いた。

奥様にしてみれば、きちんと管理して農薬不使用で栽培したわけではないので、管理している農家と一緒くたにするのは申し訳ない、と思ったのだろう。

ちなみに無農薬栽培と言う言葉は、正式には禁止されている用語である。
だから、POPやインターネットに”これは無農薬栽培です”という表現はできない。

それにしても、あの黄土色のカラカラのさやから、こんなに美しい白い大粒の豆がとれるのには、本当に驚く。

「さ、じゃあ、お昼ですね。女満別まで1時間半から2時間は車でかかるから、もう出たほうが良いですよ。僕も今日は、お昼は少し寝ます。調子悪い。二日酔いだ。」
「そんなに飲んだの?」と奥様。
「うん、まあ。」

バツが悪そうに頷く堀田さん。

私は、アルコールに弱いので、ジョッキ1杯を2時間かけて飲んだが、堀田さんは、9杯は飲んでいたかな。。。そういえば。

建物の反対側にある堆肥を見た後、堀田さんのお宅をお暇した。

「お体、くれぐれも大事にしてくださいね。」
恥ずかしそうに頷く堀田さん。

↑昔からあるという”泥ノ木”の前で。

「いやあ、すごいな。一人で90ヘクタールか。ほんと、春先から雪が降るまでずっと、朝から晩まで働いているんだな。」と車内でつぶやいた。

13時半を過ぎていて、堀田さんには少し悪いことをした、と思った。

しかし、人がいないな…。
堀田さんも、きっと、一日のかなりの時間を一人で畑で過ごすのだろうな、、、孤独だろうな、、、

女満別空港は、やっぱり結構離れていて、それなりに、いつも通りだが、焦った。
知床から最短の空港だからだろう、格安航空会社も出入りしていて、8000円台で東京までの航空券が購入できていた。

成田に着いて、電車で地元の駅に着き、人であふれているのを目にして、なんだかホッとしてしまった。
その足で、保育園に下の二人を迎えに行った。
「とーちゃん!」×2。

一日、会わなかっただけだけれど、息子たちの歓迎感がいつもよりも強いのを感じた。
自宅までの道すがら、二人の手をいつもよりも強めに握って、帰った。

「ただいま!」

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