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もち

プライド。

りょくけんでは、毎年、福井の田中さんのおもちを取り扱っている。

福井?と思われるかもしれないが、お米のナンバーワンブランド米「コシヒカリ」は福井県で生まれた品種。
隣の新潟県の方がよく知られているので、コシヒカリの”コシ”は越後、つまり新潟のようなイメージがあるが、福井県の旧名である”越前”の“越”なのである。

だから、お米品種の開発には力を入れていて、以前の”かぐらもち”も美味しかったけれど、最新新種である”たんちょうもち”はさらに美味しく、大粒で、価値のあるもち米だ。

15年ほどまでに、私が、りょくけんの生産部の先輩におもちについて相談したところ、先輩の先輩だった田中さんを紹介され、上司にも相談したところ、「田中君か!良いじゃないか、口から生まれたような人間だけれども。」と、承諾を得た。
(内心、え、口から生まれたようにしゃべる、って、あなたもでは、、、なんて思ったりもしたが)

電話しても、明るい声で、確かによくお話をする方だった。
会いに行った時も、あわらの駅で待っていてくださり、食事をご馳走になった後、ご自宅に泊めてくださった。

生まれは愛知で、農家の次男坊。
当時の苗字は”田中”ではなかった。
夫婦で養子となり、福井の田中家を継いだ。

今年、電話でお話しした時は、自分よりも私の事と会社を心配してくださった。
何せ、このご時世だし、報道では東京の感染状況も逐一流されていたことだろう。

「田中さんは?」
「うち?うちは~。まあ、でもぼちぼちやってるよ。送料とか農業資材の値上げ以外は、でっこみも引っ込みもない感じかな。まあ、なんていうか、農家がいっぱいもうかっちゃいけないんだよ。うちらがいっぱいもうかっちゃうと、食料が高くなる、っていうことだからね。」
「…!」

第一次産業、とくに田中さんは米が主力だ。
米が高騰すると、やはり国民生活に、一定の支障が出るだろう。

日本の食を預かる農家の矜持みたいなものを、感じずにはいられなかった。

「こんな、鎖国みたいな時代ですけど、野菜くだものは滞らず、供給できてますもんね。」
「そうそう、そうなんだよ。分かってるね~」

もちろん、輸入されている作物はあるだろう。
でも、米騒動みたいなものは起きていない。
大きな高騰もなかった。

そこは、この2年にも及ぶ状況下でも、日本の農業の誇れる部分だと思う。

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