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キャベツ 種苗メーカー

石井採種場に、加藤氏在り。

次は少し遠かった。

東に向かい、川を渡り、袋井に入った。

川沿いの広い園地に、私が大好きなキャベツ品種”あまだま”を育成する種苗メーカー”石井育種場”の畑があった。
種苗メーカーだけれど、自社の品種を中心に、実際に栽培して出荷も行っているのだ。

ちょうど、リフトで700ケースのキャベツをパレットに積んで軒先に運び出しているところだった。
リフトを運転しているのが、加藤さん。

「ちょっと待っててくださいね~!」

しばらくして、名刺を頂戴し、ご挨拶。

目が大きく、日焼けした感じが、DA PUMPのISSAさんに似ている。
昔は少しヤンチャだったのかな?と感じさせるところも。

毎度、初めてお会いする方には、少し緊張する。

ただ、広い園地を歩きながら、たくさん話していくと、本当に造詣が深いというか、単に、農場の責任者を任されている人ではないと思った。

「あまだまですか!? いやあ、ありがとうございます、扱っていただいて! でも、いまは、”よしき”が良いですよ。あまだまよりも、対応できる季節の幅が大きいので、ここいらだと12月から1月いっぱいはいけます。」

あまだまは、愛知の豊川にある緑美農産さんにお願いしている。
適応できる季節が短いのは知っているが、ほぼ、そのよしきと同様の作柄で収穫できている。

神奈川の三浦では2月とか3月にも生育できているので、微妙な土地柄の違いで、変わってくるのだと思う。

実際、群馬や長野でも夏作の栽培をお願いしながら、実験を繰り返すのだそう。

「今、収穫しているのがここ。春キャベツとしては抜群の食味の”春汐(はるしお)”。これは良いですよ。その向こうが初夏のキャベツ。」
「種苗メーカーさんなのに、こんなに作付けするんですね。」
「します!僕らにとっては、出荷=栽培試験なんで。農家さんから来る質問にも、実際に栽培して答えられないといけないですから。」

作りっぱなしではいけない。
どこのメーカーさんも、それは同様なのかもしれない。

「ところで、いっぱいチョウが飛んでますけど、大丈夫ですか?」
キャベツなどのアブラナ科の植物には、とかく虫がやってくる。
チョウは、まだ小さいキャベツに卵を産み付け、孵化した青虫たちがキャベツを食べて成長する。

「大丈夫なようにしてあります。」と言うので、少し考えた後、
「農薬ですか?」
「そうです。あそこには、青虫が勝手に脱皮するのを入れてあります。」
「ホルモン剤ですか?」
「そう。そうです。青虫が生まれたら、まだ成長していないのに脱皮しちゃうから、そのまま死んじゃう。」
「なるほど。」
「僕らもやっぱり怖いです、ホルモン剤。農薬もいくつかタイプがあって、頭をしびれさせるタイプと、おなかをしびれさせるタイプと、口をしびれさせるタイプがある。」
「結局は、全部しびれさせるんですね。」
「そう。いわゆるネオニコチネイド系の農薬はそうです。おなかをしびれさせることで、食べても消化できないから死んじゃうのと、口をしびれさせて、食べられなくして死んじゃう。僕らも、脳をしびれさせるタイプは、怖いな、と思ってます。」

農薬は、消費者の方が最も気にする部分のひとつだと思うが、作業従事者の方が、浴びる危険性が高く、やっぱり散布するときにも気を遣う。

農薬は、必要悪。
使わなくて済むなら、その方が良い。
けれど、キャベツの方が全滅したら、人間の食べ物はなくなってしまう。

「でも、だんだん効かなくなるんですけどね、、」
「耐性ができる、っていうやつですか…。」

そして、悲しいかな、効果は無限じゃない。

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