さくらんぼは、雨に弱い。
特に収穫期に向かって熟度を上げていく時に、雨に当たると、はぜてしまう。
それを防ぐため、さくらんぼ農家は、上部にビニールを張る。
背の高い、少しだけ簡易のビニールハウスを、収穫から1か月ほど前から張るのだ。
だから、りんご畑が続く中でも、背の高いビニールハウスを探した。
そうすると、見えた。
左手の奥にそれらしい、真新しい背の高いハウスが見えた。
そそくさと、誰かを待っているような女性二人が見え、「来た来た!」と口にしているのが分かり、
その向こうでは男性が乗った軽トラが私を見て、発進した。
あの男性が電話してくださった方?
女性二人が、農業に従事している???
さーっと頭に疑問が残ったが、「りょくけんの大森です!小野さんですか!?」と確認して、招かれるまま、レンタカーを畑の方に進めた。
「奥で回れるから、回って、ここに!(とめて)」
あまり旋回運転が得意でない私でも、十分に車を反転させて、指示のあった場所に駐車することができた。
「初めまして!りょくけん東京の大森です!」
想像していたよりも若々しい(軽く失礼???)奥様二人が出迎えてくださった。
ハウスは二つ。
2反くらいのハウスと、1反ないくらいのハウス。
狭い方のハウスの横には、パラソルが立てられ、机も出て、さながらキャンプのように、椅子もセッティングされていた。
テーブルの上には、さくらんぼも並んでいて、「お!?食べたい!!」と瞬時に思った。
同時に、狭いハウスには、黄色のさくらんぼがあることにも気づいた。
「月山錦ですか?」
「そうそう、あまりならねえげど。」
軽トラに乗っていた男性が帰ってきて、もう一人、男性を連れていらして、名刺交換。
中小企業診断士の肩書も有し、青森の物産も紹介していらっしゃるようだった。
「私どもの野菜くだものを銀座においていただけるのであれば、光栄です。」と教えてくださった。
軽トラに乗っていたのは、小野さんの旦那さんだった。
「ごれごれ~。お父さん、絶対名刺忘れるど思っで、一つ持っでぎどいだ~」
小野さんの旦那さんは、土木業の会社を経営していて、その一環で、趣味が高じて、さくらんぼや桃、りんごも西洋梨も作っているのだ。
やり取りを見ていて、なんか良いなあ~と思った。
すでに、12時を30分ほど過ぎた頃。
なんと、飛行機に乗り遅れて、約束の時間に来れなかった私なんぞに、昼ご飯を用意してくださっていたのだ。
「ごれ、青森のだがら。買っだものだげど。」
ご用意いただいたのは、いかのゲソのだんご(さつま揚げのようなもの)、枝豆おにぎり、しょうがの入ったおいなりさんに、サラダ。
「食べだごどある?」と言われて、少し、戸惑ったには戸惑った。
青森は初めてではないし、枝豆のおにぎりは関東でも見たことあるし、しょうがのおいなりさんは、古市庵さんでもよく食べた。
味付けは、なじみのある味で、いずれも美味しかった~。
でも気になるのは、さくらんぼ。
昼ご飯を済ませ、さくらんぼをほおばった、たぶん、今までで一番たくさん。
受粉樹として植えている”紅さやか”は、サミットのように色が濃く、美味しかった。
佐藤錦も、十分に美味しい。
糖度も20度前後あった。
「良いですね!」
「20度もあるんだな。」
商売道具として持ってきた、糖度計は、好印象だったようだ。
「じゃ、畑、見ますが?」