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四転、

「例の…」と農家さんが、パトカーに乗ったおまわりさんに目くばせをする。
おまわりさんは、私に目をやり、ニコニコと笑みをたたえている。

「大丈夫そうだね!」

と言い残して、過ぎ去っていった。

どうやら、農家さんは友人知人のみならず、警察にも連絡し相談していたようだ。

ご自宅の脇にある駐車場で、今朝採れたての白いとうもろこしを手渡された。

「食べ見て。」

「良いんですか!?」

とほおぼった。

「あま~い」

白いとうもろこしは、生食に向く。
くだものというよりは、まるでお菓子のような甘さがある。

「なんていうんですかね、ほんと、おかしみたい。ショ糖の甘さがすごいですね。」

「これで、16度くらいはあるかな。でもこんなものじゃないんだよ、3年前にできたのは!」

ーーーーーーーーーーー

最初に見せてもらった畑では作業中の奥様もいらした。

「おお、あそこに家内もいる。」
「こんにちは~突然来てすみません~」
「いいえ、すみません、疑ったりなんかして。。」

とうもろこしの下のほうの葉を掻く作業をしていた手を止め、わざわざ私のほうまで来てくださった。

そのあとは、車で新野(にいの)をぐるっと一周。
3か所に散らばるとうもろこし畑を見せてもらった。

どれだけきちんと手を入れているか。

それは隣り合う畑を見れば一目瞭然だった。
そしてこれだけ雨の多い年である。

手を入れていない畑では、小さいまま腐ってしまっているとうもろこしも散見されたが、ほぼきちんと大ぶりのとうもろこしがなっていた。

新野は、標高800mの高原にあって、平らな場所が多く、田んぼも畑作も可能な土地柄。
周辺の村々では、平らな土地が少なく、段々畑か、棚田を作ってなんとか作物を作るので、恵まれているのだそうだ。

新野。

ご自宅のある砂田という場所を離れて、少し小高い丘の畑で、風光明媚な景色を見ながら、昔話も交えながら、話をした。

3年前まで、白のとうもろこしで糖度23度、黄色いとうもろこしで糖度24度を達成した。
歯に染み渡るような甘さだった。

購入した人や知人友人から、東京の百貨店で、1本500円で売ろう!売り込みに行こう!と促され、ほぼ話も決まっていたらしいが、頓挫。

その当時に比べると、品種の選定を誤ったのか、昨年から糖度が上がりきらないのが悩みのようでもあった。

”糖度23~24度のとうもろこしを作って、東京の百貨店で1本500円で販売する”

それが野望、いや目標のように私には映った。

とうもろこしの糖度は普通13~14度くらい。
品種や栽培方法にこだわれば、16~18度くらいになる。
実際、ブランド産地と呼ばれるとうもろこしの糖度は18度くらいで、全国に結構ある。
ただ、20度を超えて、23~24度となると、聞いたことがない。

手間も暇もかけているし、ストーリーもある。
1本500円の価値はあるかもしれない。
ただ、日常にはならない。
一日に何百本いや何本も売れるような世界ではない。

昨今、送料もどんどん上がっている。

ご自宅に戻り、いざ、「で、いくらで買ってくれるの?」という話になり、ダメかもな、と思った。

私も残念ながら商売人である。
希望だけは伝えて、新野を発った。

その数時間後、メールをいただいた。

「大森様の売値に、コストがあいません。今回は見送りたいと思います。」

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