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斜里 花豆

白花豆。

白花豆は、地域によって、とても良く食べられている。
おそらく関東ではあまりなじみがない。

私が初めて目にしたのは、長野の菅平だったと思う。
マメ科の植物の花は可憐なものが多いが、花豆も同様に、きれいな花だった。
朱色のようなオレンジに近い赤い花をいくつも咲かせ、「あの野菜は何ですか?」と、その時、一緒に回っていた元上司に聞いたものである。

甘く味付けして、煮豆にして食べることが多い。
長野や山梨では良く食べられるようだが、北海道でも良く食べるそうで、特にお正月に年配の方が、白花豆をコトコトと炊くのが風習となっている。

堀田さんの白花豆も、植え始めたのは、そんなきっかけだったそうだ。
お世話になっている地主さんや周囲の先輩方にお歳暮としておすそ分けしたところ、とっても喜ばれ、いつしか「買うからもっと作ってくれ」と頼まれるようになり、現在のような栽培量になったそうだ。

「白花豆の担当は、栽培から梱包まで、奥さんなんですよ。」

トラクターが止めてあったハウスから畑のまで、500mくらいはあるだろうか。

「この、畑の2列が白花豆を植えているところでして、ここからあそこまで結構ありますけど、歩きで良いですか?」
「ええ、もちろん。」
「3年前から、原種を手に入れられたんで。また少し良くなったと思います。」

白花豆は、在来種。
日本土着の豆品種だ。

畑の中は、他の大豆の残渣もあって、やや歩きにくかったけれど、堀田さんと話しながら、奥様に近づいた。
奥様は、電動の草刈り機を背負って、白花豆の周りに生えた雑草たちを刈り取り、竹の支柱を畑から抜き上げ、腰に掛けていた鎌で根元から豆のツルを次々に刈り取っていた。

「おはようございます!すみません、お忙しいところ、お邪魔しちゃって!」
「いえいえ。こんな、収穫も終わって、荒涼とした時期に、、、夏ならもっと緑もあってきれいなのに。」

曇っていたので、確かに、茶色と白と灰色がどこまでも広がる風景だった。
十勝の、澤山さんがおっしゃっていた通り、機械化が難しいツル性の、花豆。

「この支柱があるから、コンバインやトラクターでは一気に刈り取れないんですね。」
「はい、そうです。」
奥様の軽トラの荷台に山と積まれた白花豆。
そこに、次々と乗っけられていった。

「仁王積み(におうづみ)と言って、畑でそのまま山積みにして干す方法もあるんですけど、自分は嫌いですね。いったん、あのハウスに入れて、カラカラに乾燥させます。」

「いやあ、でもほとんど手作業だから、本当に大変ですね。だから、高価なんですね。」
「はい、単価は良いですよね。それこそ小麦や大豆に比べたら…!」

北海道では、大豆と区別して、こうした豆類を”高級菜豆(こうきゅうさいとう)”という。
実際、大粒の花豆は、大豆と比べて、10倍くらい高い。

「それでも、花豆はさやをこうやって、さっと触っただけバリバリ割れて、中の豆がとれるんで。まだ楽な方ですかね。」

十勝で見た、栗豆は、さやが少しくにくにと弾力性があり、乾燥しても、中の豆を取り出すのが大変なのだ。

「あ、あとここ、花豆は完全に自然、無農薬ですよ。」

少し嬉しそうに堀田さんが言った。

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