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修行

千尋の谷。

二日連続の厨房での修行。

痛恨のミスで、スチームサラダのキャベツを蒸しこむのを忘れていたことに、終盤になって気づいた。

厨房の焼き方=ストーブは、仕込まれたものを台無しにするだけでなく、私が焼き上げたものを使って、
盛り込みの人が、包材に盛り込んでいくので、私がひとつ忘れると、ダイレクトに迷惑をかけてしまう。

気づいてしばらく”どうしようどうしよう”と考え込んでしまったが、当日の盛り付けだった社員さんに告白。

「すみません、言いづらいのだけれど、スチームのキャベツを忘れていました。今、グリルを焼いているので、この後、また温度落として、スチームします。」

「はい、かしこまりました。盛り込む順番を変えますので大丈夫です。」

他のサラダを先にすすめておく、とのこと。
青い顔をしていた私に対して、一切表情を変えずにさっと答えてくれた。

「社長、どうしたんですか!?何しようとしてますか?」

厨房の長の社員さんが、キャベツを並べている私に対して、声をかけてくれた。

「いったん温度落として、スチームかけます。キャベツのスチームをかけるのを忘れたので…」

言うが早いか、「そうしたら、鍋でゆでましょう。温度を落とすのはもったいないですし、グリルする品目もまだあるんですよね!?」

「一番、底の面積が大きい鍋を用意して! 水入れて、お湯を沸かして! パンで良いからふたして! お湯わきましたね、キャベツ入れてください!1分半くらいで、ゆであがりますから! そしたら、穴あきパンに入れて水きって、チラーで冷やして!」

矢継ぎ早の指示だったけれど、すっと頭に入ったので、言われる通り実行した。

IHの電磁調理器だが、ものすごい早さだった。

”そっか、こういう方法もあるのか…”

迷惑も面倒もかけたけれど、ベテラン二人のおかげで、オープンの10時までに、すべての品目を完成。
私以外は、みんなすごいな、と正直に思った。

16時過ぎ、すべての業務が終わり、私も含め、厨房勤務の3名は、退勤する。

「次回も少しまた内容が変わっているかもしれませんけど、社長、大丈夫ですか?」と不安がられたが、一方の正社員さんは笑いながら言った。

「だから、大丈夫ですって。何とかなりますよ。」

そういえば、昨日も今日もその前も、何とかしてもらった。
あんまり多くは語ってくれないけれど、そっか、できない私は、彼女らに支えてもらっているのか、とちょっと気づいた。

自分の仕事の出来栄えで、お客様はもちろんの事、一緒に働いている方にも与える影響が大きい。
連携がすごい分、そのプレッシャーは大きいのだけれど、そっか、私はだいぶ支えられているな、と気づいて、なんていうか、ちょっと満足だった。

いつもは、千尋の谷に突き落とされている気でいたんだけれど。

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