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きゅうり とうもろこし

秋の山梨2。

相変わらず美味しい、細めのそばに舌鼓を打った後、なすでお世話になっている石原さんの畑に向かった。
たまたま電話を頂いていたので、「明日行っても良いですか?」と確認もとっていたのだ。

10月のなす。
秋なすは、寒暖差が出て、果肉がしっかりしてくる。
畑を見たいな~と楽しみだった。

道すがら…。

そうだ、小林さん。
と車からぱっと振り向いたら、ヤギが見え、奥さんも出入りしているのが見えた。

「ごめん、ちょっとご挨拶してきても良い?」とごにょごにょ言って、踵を返し、立ち寄らせてもらった。

小林さんのとうもろこし”きみひめ”は、山梨オリジナルのとうもろこし品種で、小林さんは10万本以上作付けしている。
テレビにも良く出ていて、今年は7月に2回も主役で出演。
控えめで謙虚なのに、引っ張りだこだ。

「こんにちは、りょくけんの大森です。」とご挨拶。
「あ!大森さん!まってね、今畑行ってるけど、トモさんも呼ぶから!ヤギと遊んでて!朝顔のツルを喜んで食べるから!」

車で待ちきれなかった息子たちが次々とやってくるのに、やや驚きながら、的確な指示を出してくださった。

小林さんは、初夏にとうもろこしを育て、その後、梨と桃を手掛けている。
そのあとは何も作っていないから、畑に出ている、と聞いて、少し不思議に思った。
出荷場を覗くと、疑問は吹き飛んだ。
数えきれないくらいの、きゅうり用の段ボールが積み重ねられていたからだ。

ほどなく、軽トラにご夫婦そろって、私どもが待つご自宅に帰ってきてくださった。

「どうもぉ、お久しぶりです。」
「すみません!急にお邪魔しちゃって!」
「ちょっと畑に草が伸びちゃって、その整理をね、しに行ってました。」
「今何作ってるんですか?」
「夏の間は、ずっときゅうりをね、作ってます。」
「やっぱり!今、そばを食べてきたんですけど、あの隣の隣にある畑は小林さんのですか!?」
「ああ、そうです、あそこもとうもろこしの後、きゅうりを植えてます、うちのですよ。親戚から借りてやってます。」

夏は何かと、きゅうりの供給にも困った時期があった。
こんなに近くで、育てている方がいらっしゃるとは思っていなかった…。

「台木を使って栽培しているんですか?」
「いや、うちは、種から播種して、育ててますよ。」
「え~~~~!」

小林さんとしては、”うちは接ぎ木をする手間がないから、種を直播するしかないんだよ”みたいなニュアンスでおっしゃったが、実はすごいこと。
病気に弱いきゅうりは、同じウリ科で病気に強いかぼちゃを台木にするのが普通だからだ。
根っこから少し上までをかぼちゃにし、主幹をカットした後、きゅうりの枝をかぼちゃに接ぐ。
こうすることで、病気に強くなり、半年近い長期に渡って栽培できるようになる。

ただ、味や香りは、自分の根でできた”自根きゅうり”の方が上だと言われている。

どうしても病気に弱く、短命に終わるので、実施している農家さんは少なく、昨今、極めて希少なきゅうりになった。
実のところ、同じ山梨県内で、毎年なんとか作ってもらっていたけれど、今年は、ついに農家さんが断念してしまった。

そして、「これどうぞ。もう出荷した後なんで、”ハネ”ばっかりですけど!」とキャベツ箱いっぱいに詰まったきゅうりを、いただいてしまった。

そのまま、ほおばる次男。

「洗った方が良いよ~」と言われるのも聞かず、そのまま食べ続けていた。

私は、、、なんだか情けなかった。
あんなに電話でもメールでもいっぱいやり取りしている小林さんのところで、自根きゅうりを育てていたとは…。

「来年も、きみひめがヒットすると良いですね。」
「いまだに、『とうもろこしないですか~?』っていらっしゃいますからね!」なんて、少し立ち話をした後、お暇した。

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