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ジャン・レノ なかふ 中富良野 天心 玉ねぎ

北海道 中富良野にて”天心”を語り合う。

北海道の旭川空港から車を走らせ、中富良野に向かった。
北海道では、中富良野のことを
”なかふ”、上富良野のことを”かみふ”と呼ぶようで、そこかしこに、そのような表示があった。

中富良野では、お願いしている玉ねぎ“天心(てんしん)”がある。

天心は、天心農場が日本農林とタッグを組んで育種した生産者 北川さんのオリジナル品種。
なかなかお忙しいようで、10月中旬にもなって収穫期になっているのだけれど、まだ選果も収穫もできていないと聞いて慌てた。

そこそこの量を契約しているので、早めに販売を始めたいのに、すっかりスタートが遅れてしまった。

でも逆に言えば、この時期になっても、畑を見に行くことができる。
そう思って、やってきた。

 

北川さんは、はっきりとした物言いの方だ。
体も大きく、小さな丸い眼鏡と無精ひげが、映画「レオン」の主人公 ジャン・レノを思い起こさせる。

畑で写真を撮らせてもらったけれど、ちょっと農家さんには見えないかもしれない。

「ここがりょくけんさんの分。マルチをはがした時に、こういう風に掘りあげられている。」

玉ねぎは掘りあげた後、畑で少し干す。
余計な水分が抜け、保存性が高まる。

「でもね、大森さん。日本農林さんから、もうギブアップしちゃってね。」
「?」
「天心のタネはもう作らない。全玉ねぎ品種から撤退を宣言されてしまった。」

利益がなかなか上がらないこともある。

「ただね、天心だけなんだ、30年も前の品種は。ほかの”もみじ”とか”ターザン”も少しずつ変更されて、品種が変わっているんだ。」

昭和42年に生まれたもみじも、世代を重ねて、現在のもみじは、“もみじ3号”。
天候や、世間の嗜好に合わせて少しずつマイナーチェンジしているのだ。

「なかふも、もう暑くてね。そろそろ限界かもしれない、玉ねぎを栽培するのも。」

ーなんだか怖いことばかりを言われてしまったが、鱗片の身が厚く、やわらかい天心(てんしん)。

「種は全部買い占めたからね。あと5~6年はりょくけんさんに提供できると思うよ。」

30年間変わらず提供されてきた天心。
すっかり貴重な玉ねぎになってしまった。

山々に囲まれたなかふの自然に囲まれた、広い畑で、たった二人でしばらく話し込んだ。

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