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りんご 子噺 長野

四男と長野出張2。

「あとどれくらいでつくの?」
「まだまだかなあ。あと3時間。渋滞してるからもう少しかかるかも。」
「え~ じゃあ、ぼく、百かぞえるまでについてね。いーち、にい、」

運転していると、どうしても眠い時がある。
助手席に座る方が眠い時は、運転手も眠い。
ハイテンションの四男にはだいぶ助けられた気がする。

都心を抜けるのに時間がかかったが、美女木を越えて、関越自動車道に入ると、そこからはすいすいと進んだ。
長野県須坂まで、271㎞。

覚悟はしていたけれど、一気に走るには、けっこうな道のりだった。

最初に須坂に入り、その後、上田。
上田の次は、佐久。
もし時間があれば、群馬に入って黛(まゆずみ)さんにもご挨拶出来たら、、、なんて思っていた。

須坂は、他の長野の地域と同様、くだもの栽培が盛んな場所だ。
千曲川流域の扇状地は水はけが良く、高品質のくだものが栽培できる。
少し山の上に行っても、日当たりと水はけが良く、栽培に時間はかかるが朝夕の温度差があり、糖度が高くなりやすい。

長野東インターを降り、しばらく車を走らせると、吉池さんのご自宅と隣接した選果場に辿り着いた。

吉池さんは黒いスーツ姿で、私たちの到着を外で待ってくださっていた。
午後から告別式に出席する、と仰っていた。
そちらの用意を済ませ、ぎりぎりまでお付き合いくださった。

 

「おお、そっくりだね。大きいか、小さいか、だけだ。」

車を降りた私と四男に向かって、吉池さんが話し始めてくださった。

「りんご、食べるか? 剥いてあげよう。」

選果場にテーブルと椅子を並べ、その場でりんごを剥いてくださった。

「ぼくりんごきらいだからたべないよーだ」と訳の分からないことを言う四男。。。

心の中で”はあ~?”と叫んだが、私がつまみ始めると、四男もつまみはじめ、ずっと食べていた。
一種の反抗期?なのだろうか。

「良いじゃん、良いじゃん、もっと食べな。」と笑顔でさらにりんごを剥いてくださる吉池さん。
「さっきのがシナノスイート。こっちは秋映(あきばえ)。」

やけにシナノスイートが甘かった。

「シナノスイート作ってましたっけ?」
「うん、作り始めたね。これは甘い。誰が作っても甘くなるんじゃないかな…!」

シナノスイートは、育てやすいようで、長野県だけでなく、青森でも作り始めていて、評価が高い。
品質もさることながら、栽培のしやすさがポイントになっているようだ。

「秋映は、ダメなんだよねえ、、サビが出やすくてね。美味しいりんごなんだけど。ちょっとやめようかなとも思っていて。」

秋映の代わりに、シナノスイートとシナノホッペを考えているようだ。

「ホッペですか? 色は良いですけど、あんまり特徴無いんじゃないですか?」
「う~んそうかもね。でもサビが出ないんだよ。」と吉池さん。

シナノホッペは秋映と同じくらい色が濃く、美味しそうに見える。
酸味が適度にあり、美味しい。
ただ、食味的な特徴は少ないと、個人的には思う。

「あと黄色は名月に決めた。」
「あ、名月は美味しいですよね。」

名月は、おとなりの群馬で生まれた黄色のりんごで、正しくは”ぐんま名月”と言う。
食味に特徴があり、独特の風味があって美味しい。
そして、外観もきれいで、つやがあり、やや大玉傾向の、育てやすい品種だ。

なんやかんやと1時間くらい話すと、「お。時間だ。ちょっとね、突然だったんだけど、告別式に行かなくちゃいけなくて。あとは嫁さんが畑を案内するから。」

「あ、お忙しい中すみません、ありがとうございます!あ、ちょっと待ってください、ムーンルージュ。ムーンルージュはどれくらい行けそうですか? 去年は60kgくらいだったんですけど。」


「年数経ってるからね。それ以上できることは間違いないよ。」と自信のある表情を見せてくださった。
「ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。」

そういうと、四男が席を離れてから戻ってこないことに気づいた。

吉池さんを見送りがてら、選果場から外に出て、車に向かうと、立ち往生している四男がいた。

「あ、ちょっとまって、いま、きがえようとしてるからっ」

とても着替えようとしているようには見えない…。
またもや、おむつからおしっこがもれてしまい、ズボンからしとしとと漏れている。

「あ~~~!マジで!??」

他人様のガレージで、またもやおもらし…。

「ああ、間に合わなかったんだね~」と優しく笑う奥様…。

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