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シナノホッペ スリムレッド ムーンルージュ りんご 子噺 須坂

四男と長野出張3。

「あ~すみません、、、」

お取引先様の、ほぼ外とはいえ、ガレージでおもらしを許してしまった。。

「良い良い、良いよ、大丈夫。」と仰っていただき、ますます恐縮。

「今日は何、写真撮りたいの? ふんふん、じゃあ山だな。山の上まで案内よろしくお願いします。」と吉池さんは黒い礼服で、さっそうと歩いて行った。

「ごめんなさいね、突然だったから。」と奥様。
「あ、すみません、突然来ちゃって…。」と私。
「あ、いやそっちじゃなくて…。」と奥様。

あ。
我ながらデリカシーがなかった。

”死”は突然やってくる。

奥様が乗った軽トラが先導してくれ、山の上の畑に向かった。
ご自宅から10分くらいだろうか。

左手に、山砂の採石場があり、切り崩された山が見えてくる。
ちょうどその向かい側に、吉池さんの、いくつかある中でもおそらく一番広いりんご畑がある。

ここは、ふじを中心としつつも、本当に様々なりんごが植えてある。

「わ~い、じゃあ、とおちゃん、かくれんぼしよう!ぼくかくれるから、みつけてね。」

そう言って走り回る四男…。

↑ 注 かめはめ波らしい。

「ここは広いし、見晴らしも良くてね。あっち側に善光寺平っていう場所があってきれいに見えるから、お父さんとも、ここに家を建てようか、なんて言ってたこともあったくらいで。」
「へえ~」

収穫の終わったシナノピッコロ。
濃い赤のシナノホッペ。


名月。


大きな立派になったシナノゴールド。


シナノゴールドは一本しかないのだが、樹が生長しているので、けっこうな数量が収穫できる。

「これこれ、ここはムーンルージュね。」
「どーこだ?」
「う~んわかんないな~」とさすがに四男は流しながら、奥さんの話を聞きながら、写真を撮った。

外観は蛍光イエロー。
少し赤みを帯びているものが、中までよく赤みを差す。

ムーンルージュは、須坂よりもう少し北に進んだ中野市の個人育種家 吉家さんが作った品種。
吉家さんは、赤い果肉のりんご品種を多数育てている。

赤い果肉の品種は、昔からあるのだが、渋みがあり、生食にはおおよそ不向きだった。
いくつか品種があるが、吉家さんは紅玉とアメリカの果肉が赤い品種”レッドパール”を交雑させ”いろどり”という赤い果肉のりんごを生み出した。

他にも”中野のきらめき”、”中野の真紅”などがあるが、食味や日持ち、赤い色に出現率など課題があった。

ムーンルージュは、”いろどり”に”ふじ”を掛け合わせて生まれた。
日持ちも良く、果肉もしっかりしているし、蜜も入って、酸味もあるが、甘さも強い。
昨年が、一般化して元年とも言うべき年だった。

樹を見る限り、今年はたくさんとれそうだと思った。

「これはスリムレッドね。」


「これは名月。」
「これが、一本だけあるシナノゴールド。」


「あ、ここにもあった、これはムーンルージュ。」


「どーこだ?」
「わかんないなあ~」
「せーかいは~ここでした~!」

りんごの樹に隠れた四男は明らかに樹から体が出ていて、見てすぐわかるし、声も出すので、明確にわかってしまうのだが、、、

「このりんごたべていい?」
「ちょっと早いかな?でも良いよ、ハイ。」と不躾な息子に収穫してくださったり、収穫させてもらったり。
もらったり、収穫したりんごを、皮ごとがぶりついていて、こんなにたくさん食べられるのか、と少し驚いた。

気持ちの集中が完全に不足していたけれど、これはこれで楽しかった。

「ごめんなさいね、お父さんがいれば、もっと詳しく説明できたんだけど。」

吉池さん(ご主人)は、何と言うか、気さくで前向き。
奥さんは昔から本当に変わらず、元気で柔和だ。

「はい、これお土産。たくさん食べてね。」
両手で抱えきれないくらいのりんごを頂いてしまった。。。

車にまた乗りこみ、窓をいっぱいに開けて、精一杯の声を二人で叫んだ。

「ありがとうございました~!」

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