りょくけん東京

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みかん 明浜 河内晩柑

「ピンチをチャンスに」明浜の片岡さんの挑戦。

「次はじゃあ、山行きますか。」

片岡さんの渾身の畑に向かった。

5年前の西日本豪雨(2018年)の時に、明浜は甚大な被害を受けた。
片岡さんの畑も、然り。
片岡さんは台風被害を契機に、新しく、放棄地となっていた畑を購入した。
片岡さんは、代々の農家だが、お父様は農業に従事しなかった。
祖父から知識と技術と畑を受け継いだ。

その祖父から、「その畑は昔から良いみかんが採れる場所だから。」とアドバイスをもらい、従ったそうだ。

 

1反(10m×10m)にも満たないみかん畑がほとんどの中、そこは1ヘクタール(100m×100m)の面積を有す。
伝統的な石垣が組まれ、南西向きの理想的な段々畑。

「モノラックのメーカーももう数社しか残ってなくて、維持できなくなる可能性があるので、ここはコンクリート舗装をして沿道を整備して車が入れるようにしてみました。」

りょくけんが好きな茶色の土色。
石ころ交じりの水はけの良い急傾斜の園地。

モノラックとは、みかん園地に張り巡らされたトロッコ列車のこと。
斜面の往来を助けるため、一本のレールが敷かれ、ガソリンエンジンを搭載した台車が乗る。
収穫したみかんは、この台車に乗り、山のふもとまで運ばれる。

公式的には、人は乗っていけないことになっているし、そのように台車にも記載されているが、実際問題、園地には道がない場合が多く、人も載せて動いている。

「モノラックのメーカーはもう二社だけかな。」

最年少だけれど、栽培経験が長い宇都宮さんがポツリと言った。
物静かだけれど、やはり知見が豊富だ。

早生の宮川と中生の南柑20号が植えてあったので、すでにすべて収穫済み。
次回は、たわわになっているところを訪れたい。

中腹の当たりで、戻ろうとしている気配を感じたが、「上まで行っても良いですか?」と最後まで登らせてもらった。
明浜湾を見渡す、絶好のロケーション。
しかも、1か所に1ヘクタールと言う稀有な面積。

「ここは、良いものが出る予定です。剪定も切り上げ剪定にしてみて、植物ホルモンの動きとかも気を付けてみようと思っています。」
「??? あれ、道法さんって、ここにいらっしゃいました?」
「いや、来てないですけど、図とか分かりやすいので、見てます。」

道法さんは、夏から秋にかけて、レモンを提供してもらっているだけでなく、私の元同僚でもあり、現在は、自身が理想とする農法を体系化して、指導している方。
肥料を中心としていた現代農業に、肥料に頼らず植物ホルモンの働きにもっと着目すべきだと提唱している。

在職中はいっぱい喧嘩もしたけれど、やっぱりすごい方だ。

麓にはたくさん河内晩柑が生っていた。
黄色のたわわに実った果実は、美味しそうだったが、長く木にならせなくてはいけない反動で、落果も激しく、生っている実の数と同じくらい落ちていた。

「次どうしようか、”マルドリ”見てもらう?」

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