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トマト 水耕栽培

水耕栽培を考える1。

”水耕栽培”という言葉に出会ったのは、いつだっただろうか、おそらく、”渡る世間は鬼ばかり2”という人気ドラマの中だったと記憶している。

仮面ライダーブラックや朝ドラの主人公を務めた倉田てつをさんが四女のお婿さんとして登場し、実家の農家を大改革したいと、例の、橋田寿賀子特有の長い長いセリフの中で、夢を語っていた時だったと思う。
「大規模な設備投資を行い、梨を水耕栽培で安定供給したい。」
そんな夢を語るが、何話か過ぎると、資金を調達したものの、だまされてどこぞへととんずらし、倉田てつをさんは二度とドラマには出てこなかった。

そんなだから、水耕栽培については、否定的なイメージが植え付けられた。

たまたま入社したりょくけんでも、永田家一族が「水耕栽培は認めない。」と言っていたから、私のなんとなくの感覚は合っていたのだと思った。

そしてこれまたいつだったか。

和歌山県に国産アボカド栽培の先駆者がいると聞いて、突然訪問した時だった。
アボカドの苗や、アボカドは育てつつも、主力はきゅうり、しかも水耕栽培のきゅうりだった。

「うちは水耕栽培はやりません。」と私が無邪気につぶやくと、農園主は、少し怒ったように「そうやって食べもしないで、水耕栽培を判断されるのは嫌なんだよね。実際、食べてみて、それから判断してくださいよ。」
「でも、水耕で作ると、水っぽくなって、日持ちも悪くなると思います。土耕よりも。」

そう言いつつも、実際、どうなんだろう?と気になった。

それからまた少し経った後、静岡の三ケ日のトマト農家さんとお付き合いがあった。
ミニトマトや黄色、オレンジのミニトマトを依頼し、栽培してもらった。

三ケ日のほろりと崩れる赤土を気に入って、依頼したのだけれど、数年後、いつの間にか、パイプが通され、水耕栽培に圃場が改良されていたのを見て、驚いたものだった。

なぜ気づいたかと言えば、、、
毎回、糖度チェックや食味チェックを浜松の会社で行っていたのだが、それが例年になく成績が良く、安定していたからだ。

「何か変えたんですか?」と電話で聞くと「前から言っていたように、、、大森さんが嫌いだって言うのは知っているんだけど、今年からついに離床栽培に変えただよ。」と告げられたっけ。

時が経ち、昨年のこと。
りょくけん生産部のOBである朝倉さんからご紹介いただいた豊橋の高糖度ミニトマト。
11月や12月だというのにやけに美味しい。

「すごい農家さんですね。」
「すごいよね。でもね、ごめんね、大森君のきらいな水耕なんだよね。」

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