同じ百貨店の中にいくつか羨ましいな、と思うお店がある。
例えば、ケールを主要商品として、そのほかの在来品種も作っているらしい。
関東に畑を持ち、都内にレストランや加工場もあって、銀座の百貨店に店舗を持つ。
垂直型の、羨ましい業態だ。
りょくけんでも、農場は何度か挑戦して失敗も成功もしているので、農場と言う「製造部門」を持つことの魅力もリスクも承知しているつもりだ。
でも、やっぱり垂直型は羨ましい。
歴史上の企業で、究極の垂直型は、車の、フォード社だそうだ。
それまで、高級なものだった車を、一般の方でも手に入れられるものにした、フォードの功績は大きい。
なぜ安くできたかと言うと、規格化にある。
今でこそ、多くの車種を送り出しているが、当時は、一車種のみ。
そして、工場は、鉄鉱石も石炭も掘れる場所に建設。
現場で鉄鉱石を掘って製鉄も行って、現場で燃料も精製し、工場にあてがう。
これまでで存在した企業の中で最たる垂直型のビジネスモデル。
ただ、人間は満足しないので、少し豊かになったら、画一的な一車種に飽きて、様々な車種、好みにあう車に人気が出たため、フォードのビジネスモデルは永続しなかった。
それでもなお、私は農場も物流も加工場も店舗も自社内に有する”垂直型”は羨ましい。
ストーリーが描きやすいからだ。
そんなことをふと付き合いのある包材業者さんにつぶやいたところ、先方ともお取引先さんだったらしく、よくご存じのようで、意外な言葉が出てきた。
「へえ~。そういうものなんですね。でも、むこうはむこうで、りょくけんさんを羨ましがってますよ。」
「へ?」
「お客様がついていて、羨ましいって。」
いやいやそんな。
そりゃあ、お客様は宝だ。
銀座の店舗は15年、通販は30年続けている。
お客様は、その褒賞と言うか裏返し、というか。
隣の芝は青いだけなのかな。