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きくらげ まいたけ 妙義山

妙義山の中腹で昔の話。

広大な敷地と施設を目の前にして、正直、気後れした。

そろそろと車で入っていき、二人分しかない手土産とカメラと手帳を持ち、車を降りた。
事務所の入り口に着くまで、すでに十人ほどの従業員さんと顔を合わせた…。

出迎えてくださったのは現社長の黛さんのお父様で、創業者である黛さん。
恰幅が良く、耳が大きくて、いかにも経営者さんらしく、余裕も感じられた。

隣町から、こちらに引っ越して、きのこ栽培を始めたという先代。
「最初は原木でしいたけを作ってました。ただ、規模を拡大する中で、重たい原木を、さらに水につけて重くして、それを運ばせる作業は、、、自分だけなら良いですが、他の人にはさせられない。」と現在の施設栽培に切り替え、規模を拡大してきた。


数十棟ある施設に隣接した応接室で、そんな話をしばらくしていると、現社長である黛さんがいらっしゃった。

「すみませんねえ、せっかくお越しいただいたのに、お待たせしちゃって…。あと一件だけ、ちょっと発注をさせてください。」と再び隣にある事務室に戻った。

ー他人に思えない…。
勝手に親近感を感じてしまった。

ようやく入室され、しばらくの間、昔話。
いかにも、作業場に今までいましたよ、という感じで、薄いグリーンからブルーのさわやかなカラーの作業着を身に着け、頭には毛髪が落ちないように作業帽をかぶっていた。
マスクの上からでも、柔和な感じが伝わってくる。

「もともとはFRフーズさんからでしたよね。永田さんから話があって。」

FRフーズとは、ユニクロを運営するファーストリテイリングの子会社で、野菜事業を担った会社。
下関のユニクロの店舗で働いていた私が、社内公募を経て転籍した会社だ。

「もう19年も前のことです。」
「そんなになりますか。」
「はい、頑張りましたけれど、皮肉なもので…。実質、営業して1年持たずに解散して、28億円の特別損失を出して…。そんなに特損を出したのに、ユニクロの株価は上がって…。」
「へえ~なるほど…。皆さんお元気ですか?」

ほぼ二十年経つのに、黛さんは当時の担当者さんや会社の方をよく覚えていらっしゃった。
当時の”SKIP便り”の取材があったことも。

「いやあ、あれは先進的だと思いましたよ。ああやって、私たちも語っていかなきゃいけないって強く思いましたよ。そうそう、あの時の帽子やバンダナもまだありますよ。」
「あ、僕も持ってます…。帽子とバンダナ…。」

そのあとは、ここ数年、会社に起きたこと、通販と銀座店の二本柱にしたこと、私が代表に就いた経緯などをお話しした。

そうこうしているうちに、黛さんの来客がある11時に近づいた。

「どれ、じゃあ、圃場を案内しますか。まいたけときくらげで良いのかな。」と先代が切り出してくださった。
「あ、理事長、じゃあお願いします。あそこと、あそこ、あちらもご覧いただいて。」
「ああ、まあ。分かった。」

先代と現社長は親子だ。
息子さんの方が現在の社長、お父様が一線を退いて理事長になっているようだった。