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パインアップル 台湾

「台湾を応援する」という方が多い。

 「このパイナップルはどこの?」

「台湾です。」

「あ、じゃあ、頂戴。台湾をね、応援しているの。それからあのコールスローも。」

最近、店頭では、そんな会話が多い。

例年であれば、

「このパイナップルはどこの?」

「台湾です。」

「沖縄じゃないのね。じゃあ、いいわ。」

もしくは

「沖縄じゃないのね。まあいいわ。頂戴。」

の二パターンが多いのだが。

中国の台湾産パインの輸入禁止は、思うよりもかなりインパクトが強いようで、ネットでもリアル店舗でも、すごく伸びている。

日本には、こんなにたくさん台湾を応援している人が多いのか。

それとも、中国を嫌う方が多い?

大学で、国際関係論のいくつかの授業の中で、台湾論があった。

小笠原先生は、小泉純一郎元大臣のようないでたちで、授業中ずっと直立不動で、蒋経国さん※を語り、本省人と外省人※を語り、台湾がいかにして親日※になっていったかを語っていたっけ。

台湾の正式名称は、中華民国。

対して、中国は、中華人民共和国。

いずれも略して”中国”。

いずれの政府も”中国は一つしかない”と言い張り、いわゆる中国はいつの日か必ず台湾を取り返すと言い、いわゆる台湾もいつか必ず中国大陸を取り返す、と言い合ってきた。

二国間で矛盾した主張なのに「一つの中国」というイデオロギーさえ守られていれば、緊張はしつつも、現状維持、問題は棚上げ状態だった。

けれど国民党が選挙に負け、民主進歩党に政権交代すると”ひとつの中国”という建前が崩れた。

民主進歩党は台湾独立を是としているからだ。

最近では、中国との国交を断絶し、台湾と新たに国交を結ぶ諸外国も現れるようになった。

ここに危機感を持った中国から硬軟織り交ぜた嫌がらせがあり、その一つが、パインの禁輸措置だと言われている。

そんな行き場を失ったパインを日本をはじめ東南アジアなどの国々が輸入。

ニュースにも大きく取り上げられた。

それは分かるけれど、こんなにも「台湾を応援する」という人が多いとは…!

ちなみに、3.11 東日本大震災の際に、200億円もの援助金を寄付したのは台湾だったし、お金だけでなく、救助隊も派遣してくれたし、現地で義援金まで住民の方々に配布した。

日本を代表するような電機メーカーも、台湾資本が入って、今また再度、成長企業になっている。

昨年は、マスクを日本に200万枚送ってくれた。

このムーブメントがどんな風に今後なっていくのか興味を持ちつつ、いずれにせよ、台湾産のりょくけんパインは、美味しい。

~以下はちょっとマニアックな台湾近現代史~

※蒋経国さん …台湾=中華民国建国者の蒋介石の長男。学生時代に旧ソ連に留学し、共産主義を学んだ。留学中、反共産主義に変わった父、蒋介石と絶縁。現地の女性と結婚。一転、国共合作(蒋介石の国民党と毛沢東の共産党が協力)、抗日共同戦線を敷くと、帰国し、父と行動を共にした。共産党に敗れると、台湾島へ逃れた。父の片腕として、秘密警察なども使って後継者となり、台湾島を統治。晩年、権威主義の限界を知り、民主化へと舵を切る。

※本省人と外省人 …台湾生まれの人を本省、大陸出身の人を外省人と呼んだ。人口の5%程度に過ぎない外省人が本省人を支配する時代が続いたが、蒋経国さんが本省人を積極的に登用し、後継者に見出したのが、李登輝さんだった。

※台湾の親日派 …第二次世界大戦中、日本は台湾を統治。日本軍が来る前は、中国大陸から来た一部の特権階級が支配層で、政治は腐敗し、民衆は搾取され、不衛生だった。日本軍は規律を統制し、治安と衛生を徹底改善した。当時のことを台湾では「豚が去り、犬がやってきた」と表現する。感謝する層もあったが、日本化に対して抵抗する層もあり、日本軍は徹底的に弾圧、粛清したため、”半日”派がいなくなったと言われている。

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